コラム

節度ある話し合いという発明

2021.08.20

大規模な水害が続いています。

被害に遭われた方々に心よりお見舞い申しあげます。

さらに拡大する新型コロナウイルス感染。いつ起きてもおかしくない大地震。世界に目を向ければ止まらない山火事。小笠原周辺では海底火山の噴火。

温暖化に怒った地球の復讐?そうかも知れません。でも、人類は太古の昔から災害と共に生きてきた側面もあると思います。

『一万年の旅路』という本があります。朝鮮半島の麓に住む一族が、天変地異で長老を失い、残された者が協力してベーリング海峡をわたり、アメリカ五大湖のほとりに定住するまでの出来事を、一万年間語り継いできた口承伝です。

つらい出来事に遭遇しながら、一族はいつも「そこからあなたは何を学びましたか?」と問い合っていたと言います。そして発明したのが「節度ある話し合い」。長老はいない、自分達で行き先やこれからを決めないといけない。だから話し合って決める。

自分の勝手な仮説ですが、この「節度ある話し合い」は、現在のファシリテーションの原型なんじゃないかと思っています。多分、技術があったはずです。

正解がわからない先の見えない不安な時代。だからこそ「集い合い」「問い合い」「節度ある話し合い」を重ねる必要がある、と思います。分断を乗り越えて。

【森 雅浩】