第4回:森の中を駆ける
ドイツの高級車メーカーの宣伝に「駆け抜けるよろこび」というフレーズがありましたが「森の中を駆ける」はまさにそんな感じです。
別にそんなに速く走らなくてもいいんです。森の中でちょっと小走りに動き出すと、歩いている時とは全く違う世界を味わえます。
狭い小道沿いに生える木々はすぐ側に迫り、さっと通り過ぎていきます。
平らでない地面に対しては、どこに足を置いてどんなルートを取るかを瞬時に判断するために、注意深く見極めないといけません。
足裏の感覚は、このままのスピードで行って滑らないかどうかを感知して、脳に信号を送ってきます。
それは、スピード感を味わいながら、身体だけではなく五感が思い切り活性化して、
全神経や脳がフルスピードで動いている感覚。
まさに身体の奥底から「生きてる!」実感がこみ上げてきて、全身によろこびが満ちてきます。
これは、競技場のトラックや、街中のルートや、ましてやジムのランニングマシーンを走っているときとは全く違う感覚です。
さらにお勧めなのは、森の中の緩やかな下り坂。すこし走り出すと重力が加わって、あなたの身体は加速するように飛んでいきます。そんな風に下り坂を駆け下りる時、そのスピード感と全身の活性化で「野生」が呼び覚まされ、思わず「ひゃっは〜」とか「あ〜あああ〜」と叫びたくなるぐらいです。
前回のコラム「静寂に溶け込む」では屋久島の森をゆっくりと歩く「歩く瞑想」のことを書きましたが、本当のことを言うと下りのルートでは、私はだいたい駆けてます(笑)。だって、それが本当に楽しくて、身体も心もものすごくよろこぶからです。
ということで、一番効果的に、かつ手っ取り早く「野生を呼び覚ます」方法は、森の中で下り坂を駆け下りる、かもしれません。でも、十分注意して下さいね。
脚の故障につながったり、落ちてケガをしたり、下手をしたら死ぬ可能性だってあります。やはり、面白いことには、危険が伴うのですね。
さて、この「駆ける」ですが、その基本動作はもちろん「歩く」です。そこで「歩く」にフォーカスしたプログラムを実施します。アプローチ方法は東洋的身体技法です。
力や筋肉で歩くのではなく、自分の腰をエネルギー化して歩くと、それこそ修験道の山伏のように険しい道もサササっと歩くことができるそうです。
そんな奥義を伝授してくれる松田恵美子さんと、9月に別所温泉で実施する「身体の野生を呼び覚ます〜天と地をつなぐエネルギーとしての自分に出会う」。
興味のある方は是非、ウエブでご確認ください。
※追記
写真は、森の中を駆け下りる幼児たち。野生に近い彼らは、森の中に行くとだいたい走りだします。